本著は29のお話で合計30種の生き物(動物、魚、昆虫)の死に様を紹介しています。それぞれの生き物の目線でその時どう感じているだろうということを著者の目線で描いており、自分のことにように感じられるところもしばしば。生き物としての人間はどうすべきかを考えさせられる1冊です。
【audiobook.jp】 生き物の死にざま 著者 稲垣栄洋 |
生き物は何のために生きているのかを考えさせられる
本著では以下の「生き物」のお話しが紹介されています。
- セミ
- ハサミムシ
- サケ
- アカイエカ
- カゲロウ
- カマキリ
- アンテキヌス
- チョウチンアンコウ
- タコ
- マンボウ
- クラゲ
- ウミガメ
- イエティクラブ
- マリンスノー
- アリ
- シロアリ
- 兵隊アブラムシ
- ワタアブラムシ
- ハダカデバネズミ
- ミツバチ
- ヒキガエル
- ミノムシ
- ジョロウグモ
- シマウマとライオン
- ニワトリ
- ネズミ
- イヌ
- ニホンオオカミ
- ゾウ
身近な生き物から名前すら知らない生き物まで様々です。29話ですが24話目で2種類の動物が描かれているので合計30種になります。
全体的に子孫を残すという視点で描かれている物語が多いのですが、ネズミはここでは動物実験に使われているハツカネズミだったり、ヒキガエルやサケは人間が作った道路や堰によって危険にさらされていたり、そして、イヌは人間との共生までのストーリーが描かれています。
とても面白いのは、寿命を持たないとされている生き物が紹介されていたり、これまでの認識を改められるような事例も紹介されています。
ひいらぎやが勘違いしていたのはカマキリの雄は交尾後に必ず食べられてしまうと思っていたのですがうまく逃げる雄もいるとのこと。でも、雄を食べた雌の方が多くの卵を産むことになり、その遺伝子はより多く引き継がれることになるようです。自分を取るか子孫を取るかと言うことなのでしょうか。
人間は当然ここで描かれている生き物と直接お話しをすることは出来ません。ですので、彼らのそれぞれの行動は外部観察的にそうだからだろうという想像でしか成り立ちません。その中で一番わかりやすいのが子孫を残すという行為であったために、それが一番の優先順位で生きているのだろうと想像するわけです。
先ほどのカマキリの例でも、交尾後食べられない雄もいると書きましたが、交尾中に食べられ始めても雄は交尾をやめないそうです。上半身から食べられることが多いようですが、交尾などを司る神経が下半身にあるそうで、そういった進化をしていると考えられるわけです。
そして、子孫を残す戦略も本当に多様です。大量に卵を産むことで種としての生存確率をあげるもの、ある程度数を絞ってちゃんと母親が守って育てることで個体ごとの生存確率をあげるもの、それぞれまちまちです。
人は何のために生きているのか
この問はだれでも考えたことがあるのではないでしょうか。ひいらぎやも一時期よく考えていました。「人」というよりも自分という文脈の方が多いかも知れませんね。
種としての生き様を紹介している本著を読み進めるとやはり「では人間は?」と行き着きます。この答えを我々人間自身が持っていないからこそ、そのほかの生き物の存在理由もわからないのかも知れません。
だからこそ、種の保存という部分だけがフォーカスされている気もします。そして人間は、他の生き物が必死に行っているように見える種の保存の優先順位を下げてしまいました。これは正しいのかは誰にもわかりません。
今のところ、「生きている意味は?」という問に対するひいらぎやの答えは「そんなものはない」です。意味なんてないのです。一見ぶっきらぼうに見えると思いますが、意味なんか無いからそんなことを考えずに、「楽しく生きれば良い」というのがその先にある答えです。
人のやることはすべて「自分が気持ちよく感じるため」にやっていることだとおもっています。怒られるかも知れませんが、ボランティアなども他人のため(=他人が気持ちよくなるため)にはもちろん意味がありますが、それ以上にそれをなすことで自分が気持ちよくなるからだと思っています。
でも、それでいいと思うのですよね。
あ、一つだけ、こういう話をすると他人に迷惑をかけて自分が好きなことをするのは論外という話をする人がいますが、そこまでの話をしていません。もちろん何をしてもいいというわけではないので…。
【audiobook.jp】 生き物の死にざま 著者 稲垣栄洋 |