行動科学とは、人の行動がなぜ引き起こされるかを心理学や社会学、人類学など多くの方面から紐解き人の行動の法則性を見つけ出そうという学問です。本著では、行動科学を用いて人に教えるための技術をして55個の方法を説明しています。本著で最も大事な点は、教えるということを「教えるとは、相手から望ましい行為を引き出すこと」と定義しているところです。すなわち、「引き出す」の主語は教える人であり、教えられる人のためにしているわけではなく自分事として動いているという点です。
【audiobook.jp】 行動科学を使ってできる人が育つ！教える技術 著者 石田淳
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教えるための55の方法
本著では10章にわたり合計55の教える人が理解しておくことが説明されています。まず教える前に心得ておくことから始まり、上司のあるべき姿や伝え方などという章ごとに細かい内容について説明をしています。
行動科学を使ってというとおり、なぜ教えても出来ないのかということを科学的に分析し、何が問題かを解消するための方法論を説いています。
そしても、冒頭に書いた、教えるとは相手から望ましい行為を引き出すことという点を大前提として議論が進められています。
相手から望ましい行為を引き出すということはどういうことでしょうか。
これは教える相手によって異なるのですが、自分の子供であれば多岐にわたることを教えることになります。このときに親として、子供がどのようなことが出来るようになればよいのかを決めるのはなかなか難しいですよね。曖昧な定義は出来るでしょうが、細かく何がどの程度できるかを決めておくのは難しいと思います。
一方、仕事を教える部下などの相手であれば、必要なことは明確に定義できるので、教えることは簡単であると著者はいいます。
これはすなわち教える側がまず教えられるひとがどのようなことが出来ればゴールなのかを明確に決め、そこに向かって教えていくことが大事ということです。
そして、「自分事」としてとタイトルにも書きましたが、自分の為に進めていくと言うことが大事だと言えると思います。
結局は自分の事として他人にわかるように説明をすること
本著を通して感じたのは、古い日本の職人のような教え方はもはや通用しないと言うことです。
職人の世界では「技術は盗め」といわれたといいますが、この方法では後進は師匠や先輩と同じ方向を向いて技術を磨けているかどうかもわからず、闇雲にやってみるということしか出来ません。これは、新しい技術が開発される可能性はありますが、本著で言っているような、相手から望ましい行為を引き出すというところには直接的にはつながらないでしょう。
相手から望ましい行為を引き出す主語の教える人の主体がそこには介在しないのですから。
そう思うと、教えられる人にどのようにわかりやすいように、技術の一つ一つの手順をこれまでかというほど分解して伝えるということや、話を聞いてもらえるように、信頼関係を作るコミュニケーションの仕方などが大事になってきます。
相手ができないのは、やり方が伝わっていないのであって、やる気が無いなどという科学的でない精神論に落としてしまうのは、教える側の怠慢です。自分が技術を正しく伝えられないのを人の性にしているのですね。
技術を分解して手順を理解してもらうこと、それでも出来ないのであれば、過程を確認してなぜ出来ないのかを一緒に考えることこういったことが大事になると本著では言っているのです。
目標なども分解して具体的なステップを描けるように
大きな目標を決めることは大事ですが、富士山に登るにもその一歩一歩の進み方がわからなければ上れる物も登れません、麓から少し先に上るためのステップを具体化して、教える人と教えられる人が次のステップはこれが出来れば達成だと言うことを積み上げて進めていくというある意味当然ですがこういったことをしっかりやっていこうと述べているのが本著です。
これはコーチングの方法にも通じることがありますね。「audiobook.jpで聴いた本。自分がやりたいことを論理的かつ明確にするための方法を教えてくれる【ザ・コーチ 最高の自分に出会える『目標の達人ノート』】 谷口貴彦著」などでも同じようなことが議論されています。
9月にジョギングをしながらaudiobook.jpで聴いた本の2冊目はこの本でした。ちなみにaudiobook.jpの紹介はこちらです。 これもブログを書こうと思う一つのきっかけになったのでした。自分のあり方をしっかりアウトプットし[…]
教えるための方法として本著では述べられていますが、自身で何かを達成するためにどのように物事を進めていくかという点でも参考になりそうです。
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【audiobook.jp】 行動科学を使ってできる人が育つ！教える技術 著者 石田淳
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