本書は「成人発達理論」をよくある企業でのストーリーとして紹介してくれています。各章の後にもポイントとして成人発達理論に照らし合わせて登場人物の行動や発言を説明している部分もあり、とてもわかりやすいです。リーダーシップといってはいますが、本書でもリーダーシップは「影響力」だとしているように、チームを率いるというよりもコミュニティの中でどう振る舞うべきかというのを考えさせる本になっています。もちろんその延長線上にリーダーシップがあるのでタイトルは矛盾していません。とても勉強になる本でした。この本は手許においておきたいので、電子書籍かそれとも紙かはわかりませんが、いつでも読める状態にすると思います。なにせオーディオブックの期間限定の無料枠で聴いたのでそのうち聴けなくなってしまいます。
【audiobook.jp】 リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス 著者 有冬典子 |
さて、ちなみにですが、audiobook.jpに登録したのが9月の上旬、いまが11月中ですから2ヶ月強で10冊の本を聞いたことになります。実際にはさらに2冊聞き終え、今は13冊目を聞いているので、1ヶ月で平均6冊の本を聞けていると言うことになります。これまで全く本を読めていなかったのですごい変化です。ありがたいですね。audiobook.jpについては以下をご覧下さい。
さて、内容についてですが、30代の成人した女性が上司から課長にならないかといわれるところからスタートし、いろいろな葛藤を描いています。その企業の中で最初の女性管理職として努力をしてひねくれて?しまった人や、他の部署でうまくリーダーシップを働かせている女性、そして、そもそも管理職として継続を諦めてしまった女性、もちろん男性の上司や若者たちといういろいろなロールの登場人物が現れ、それぞれの考え方と、お互いのやり方について感じることなどが示されています。そういった中で「成人発達理論」が説明されているのです。
「成人発達理論」の4つの段階
成人発達理論で示される4つの段階を本書ではそれぞれにリーダーとしての名前をつけて紹介されています。
- エゴリーダー(利己的段階)
- 八方美人(他者依存段階)
- コアリーダー(自己主張段階)
- 超コアリーダー
それぞれ「あー、わかる、そういう人いる」と納得できるし、その人たちの心理状態がわかります。本書ではその時に思った心理状態についてもしっかり描画されているので、その立場の人としての心の動きについても理解できるので、よりすっと自分の中に入っています。
結局は「自分が自分が」というところから「利他」というか全体を見渡せるようになっていくという道筋を教えてくれています。
一つ上の段階を見ることも大事
本書でもう一つ大事なことを示唆してもらっているとおもうのは、管理職になること、そうではなくても管理職のかたがたとふれあうことで、今は見えていない視点をもつことが大事といっていることです。これにより今の殻を破ることにつなげられるし、そもそも上司(や他の立場の人が)どう考えて、それぞれの行動をとっているかを知るための材料になります。
過去の記事でも、こんなことを書いたりしていますが、これにも近いことかもしれません。
世の中変わってみたいと思う人はたくさんいます。今の自分、今の立場に満足出来ず、どうしたらいいのかと考え、そういった潮流の一つが今の副業ブームでしょう。お金を稼ぐということだけでなく、承認欲求を満たしたいということもあるでしょう。ひいらぎや[…]
大人の成長について意識をすることが大事
我々が「成長」というと、何かしらの技能的なスキルを習得することに意識がいかないでしょうか。ただ、子供の成長というと「世間を知る」といったことも大きなパーツをしめていると認識しています。これが大人になると、持っていていて当たり前になるのかなぜか抜け落ちませんか?
「世間を知る」ことは大人にとっても大事だしそれによって自分が成長していけるのです、そういったことを認識させてくれる良書です。
だって、上があることがわからなければ上を目指すことはできませんよね。