business talk

展示会に来たお客様に適切に内容を説明する。いろんなバックグラウンドを持っている人、そして自分自身に自分がやっていることの意義を説明できることの大切さ。その答えをもっているだけで人生が楽になるよきっと。

ひいらぎやはたまに出張して展示会なんかで研究発表をしていました。今はコロナ禍でほぼオンラインになっていますが…。こういった展示会という会場において、来ていただくお客様に何をしているのかを説明するのはとっても難しくて、でもとっても勉強になるのです。

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展示会に来てくれるお客様のバックグランドは多種多様

いろんな展示会があるのですが、研究者を対象にした会議では、技術的な基本的前提は共有していると思って、難しい話をしても「ついてこれないのはお前のせいだ」的な立ち位置でも怒られないし、むしろそういう研究発表が多かったりします。ある分野に新たに踏み込んだ研究者はそういった議論について行き、そして自身が新たなアイデアを創り出すために、競争心を煽られ、一生懸命最先端の知識を蓄え、そしてその分野で堂々と議論が出来るようにがんばるわけです。

一方、一般の方向けの展示会は違います。お客様のバックグラウンドがさっぱりわからず、展示会によっては、首からさげているバッジに「主婦」と書いている方もいたりします。世の中には「逸般の誤家庭の主婦」といったすごい主婦の方もいらっしゃいますが、ふつーの主婦や近くで研究発表しているから何している研究所か知りたいし来ちゃった的な方々が我々の展示物に興味を持ってくださったときは非常に緊張します。

もちろん、興味を持っていただくのはとてもありがたく、わかりやすく説明をしなければとおもうのですが、専門知識を持っていない方々に我々の専門分野の説明をするというのは、研究者としてそもそもその研究のメリットを自身で理解しているのかということを強く問われていたりします。

よく勉強は教えられてやっとわかっているといわれたりします。その究極が最先端の研究なのです、研究は人の生活を楽にするために行われているものです。ですので、すべての人たちがその恩恵にあずかれるようなストーリーがあるはずなのです。ただ、そこをしっかりわかっていて、それを説明出来るのかというのはなかなか難しいところがあります。

専門家を対象にした研究発表のときですら、最初の発表の時は原稿をしっかり作り、聴衆すべてが自分の主張にYesとこたえられるようにし、その上で、質問事項についても前もって考えて答えを練っているのですが、専門的なバックグラウンドを持っていない方々の質問というのは正直想像ができないところがあります。そこを乗り越えなければいけないのが展示会なのです。

ただし、明らかに専門家を相手にした研究発表と違うのは、研究発表の場では意地悪な質問をあえてする人がいると言うことです。前述のストーリーをちゃんと意識しているかということをすでにそういった場を数多く乗り越えてきた方々がしっかりと後輩にもそのような試練を与えてくれるのです。これは必要なことなので大事なのですが、専門的なバックグラウンドを持たない方のつぶらな瞳での質問はむしろ強く研究者の胸を突き刺すことがあります。純真な質問にはしっかり答えられなければいけないのですが、そこまでの答えを「研究をしなくてはいけない」という立場になってしまうとなかなか考えられていないことがあるのです。そうです。手段と目的がずれてしまっているのです。

その都度いらっしゃるバックグラウンドの異なるお客様に対して、顔色を見ながら、理解してもらっているのかそうで無いのかを想像しながら説明を追加し、場合によっては急に難しい話をしながら対応するのが展示会だったりします。専門性が無いんだろうなーと思って話をしていたら急に激しくピンポイントで大事なところを刺されて爆死するというのもザラだったりします。

こう言う場は研究者にとっては本当に重要な場で、予算を取るとか、論文の発表を考えると必ず通り過ぎておかなければいけないステージなのです。

研究者に限らず我々は自分がやることに対して責任を持たなければいけない

人に対して説明が必要なことはなんでしょうか。例えば研究というのは先ほど書いたとおり、誰かのためになることとしてやっているわけです。そこで、それって意味が無いんじゃない?といわれないようにストーリーをしっかり作る必要があったりします。本来はそんなことは必要ない気もするのですがそれはまた別の機会に。

やっている研究が(広い意味で)必要でないといわれてしまうと、じゃぁなんでそれに時間を使って自分はがんばっていたんだろう。でも、X論(修士論文とか博士論文のことをこう言う表現をしたりします)にまとめ上げるためには…と考えてしまったりするのです。この状態は目的と手段が逆になっている、すなわち研究をするために研究のネタを探している状態です。正直研究者の多くがこの状態だと思います。世界を良くしようとして研究をできている人は本当に少ないと思います。イマドキ、純粋な研究では食べていけませんから。とはいえ、自分が何のために研究をしているかは説明ができないといけないのです。

これは実は研究者に限りません。ただし違うのはそれを自分の外に対して説明をしなければいけないのか、それとも自分自身に説明をしなければいけないかでしょう。

ずっと遊んでいると、これでいいのか?と思ったりしませんか。少なくともそういう風に感じると思うのでは無いでしょうか。自身のやることに対して自分自身に対する防御フィールドを張ることは大事です。大義名分を作ってあげることで自身の行動をとても自身をもって実行することができます。

是非、自身のやることにたいして自分なりの理由をつけてください。きっと人生が楽になりますから。

(本記事は2018年10月18日 11:33 PMに公開した物を再編した物です)

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